「子どもの勉強のことで、そろそろ家庭教師を考えたほうが良いかもしれない…」
そう思い立ったはいいものの、いざ探し始めるとたくさんの情報があって、何から手をつければ良いか分からなくなってしまう。
- 「家庭教師って、どうやって探すのが一番いいの?」
- 「個人契約と派遣センターって、何が違うんだろう?」
- 「料金はどれくらいかかるのか、高すぎたらどうしよう…」
そんな不安や疑問を抱えている保護者の方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そのお気持ち、私も同じ親として、そして長年この業界に携わる専門家として、痛いほどよく分かります。
こんにちは。
家庭教師業界で10年以上、数百組のご家庭と講師のマッチングをお手伝いしてきた教育コンサルタントです。
現在は独立し、保護者の方向けに教育アドバイスを行っていますが、私自身も小学生の子どもを持つ一人の親です。
だからこそ、営業トークは一切抜きにして、保護者の皆様と同じ目線に立ち、専門家としての客観的な情報をお届けしたい。
そんな想いでこの記事を書いています。
この記事を最後までお読みいただければ、家庭教師の主な3つの探し方それぞれのメリット・デメリットが明確に分かります。
そして、「我が家にとっては、この方法が一番合っているかもしれない」と、お子様にピッタリの家庭教師を見つけるための、具体的な最初の一歩を踏み出せるはずです。
目次
家庭教師の探し方は3種類!それぞれの特徴を理解しよう
一言で「家庭教師を探す」と言っても、その方法は一つではありません。
まずは全体像を掴むために、現在主流となっている3つの探し方の特徴を簡潔にご紹介します。
- 安定感と手軽さの「家庭教師派遣センター」
専門の会社に相談し、ご家庭の希望に合った先生を紹介してもらう、最も一般的な方法です。
面倒な手続きをお任せできる手軽さと、トラブル時のサポート体制が魅力です。 - 自由度と費用対効果の「個人契約」
インターネットのマッチングサイトや知人の紹介などを通じて、保護者の方が先生と直接契約を結ぶ方法です。
仲介料がかからないため費用を抑えやすく、自由度が高いのが特徴です。 - 場所を選ばない柔軟性の「オンライン家庭教師」
パソコンやタブレットを使い、インターネット経由で指導を受ける比較的新しいスタイルです。
お住まいの地域に関係なく、全国の優秀な先生の授業を受けられるのが最大のメリットです。
この3つの方法は、それぞれに良い点と注意すべき点があります。
どれか一つが絶対に優れているというわけではなく、ご家庭の状況や目的によって最適な方法は変わってきます。
ここからは、それぞれの探し方について、メリットとデメリットをさらに詳しく見ていきましょう。
【探し方①】家庭教師派遣センターのメリット・デメリット
「家庭教師を頼むのは初めてで、何から始めればいいか全く分からない」というご家庭にとって、最も心強い味方となるのが家庭教師派遣センターです。
メリット:初めてでも安心!お任せできる手厚いサポート
- 希望に合う先生をすぐに紹介してくれる
センターには多数の講師が登録されており、ご家庭の希望(科目、曜日、先生の性格など)を伝えれば、条件に合う候補者をスムーズに探してくれます。
自分で一から探す手間が省けるのは、忙しい保護者の方にとって大きなメリットです。 - 講師の経歴や身元が保証されている安心感
多くのセンターでは、講師を採用する際に学力試験や面接を実施し、身元確認も行っています。
「どんな人が家に来るのか分からない」という不安を解消できるのは、ご自宅でお子様を任せる上で非常に重要なポイントです。 - 万が一のトラブル時や講師交代にも対応
「先生との相性がどうしても合わない」「急に先生が来られなくなった」といった万が一の事態が起きても、センターが間に入って対応してくれます。
講師の交代もスムーズに行えるため、安心して指導を続けられます。
デメリット:中間マージンによる割高な料金体系
- 授業料以外に入会金や管理費がかかる場合が多い
手厚いサポートがある分、講師に支払われる時給の他に、センターの運営費としての中間マージンが授業料に含まれています。
また、入会金(1万円~2万円程度)や、月々の管理費・サポート費などが別途必要になるケースも少なくありません。 - 講師を自分で細かく選べないことがある
センターが候補者を数名選んでくれる形式が多いため、個人契約のように「登録している全講師の中から自分で選びたい」という細かい要望には応えられない場合があります。
派遣センターはこんなご家庭におすすめ
- 初めて家庭教師を検討するご家庭
- 先生を探したり、契約手続きをしたりする時間がないご家庭
- 料金よりも、トラブル対応などのサポート面を重視したいご家庭
【探し方②】個人契約のメリット・デメリット
費用をできるだけ抑えたい、理想の先生を自分の目で見つけたい、というこだわりを持つご家庭に選ばれているのが個人契約です。
メリット:費用を抑えて理想の先生を追求できる
- 中間マージンがなく、授業料を抑えられる
派遣センターを介さないため、授業料に上乗せされる仲介手数料が一切ありません。
その分、同じ予算でもより指導経験が豊富な先生にお願いできたり、指導回数を増やしたりすることが可能です。 - マッチングサイトで多くの講師から直接選べる
近年は個人契約をサポートするマッチングサイトが増えており、登録している多数の講師のプロフィール(学歴、指導実績、自己PR、時給など)を自分で比較検討して、気になる先生に直接アプローチできます。 - カリキュラムや指導方法の自由度が高い
センター指定の教材やカリキュラムがないため、ご家庭と先生が相談しながら、お子様の状況に合わせて柔軟に指導内容を決めていくことができます。
デメリット:すべて自己責任!探す手間と契約トラブルのリスク
- 先生探しから契約まですべて自分で行う必要がある
数多くの講師の中から、お子様に合った一人を見つけ出す作業は、想像以上に時間と労力がかかります。
また、授業料の支払いやスケジュールの調整、契約書の作成なども、すべて当事者間で行わなければなりません。 - 講師の質や経歴の見極めが難しい
プロフィールに書かれている情報がすべて正しいとは限りません。
指導経験が豊富だと書かれていても、実際はお子様の指導に慣れていなかったというケースも。
面接や体験授業を通して、その先生の指導力や人柄を保護者自身が見極める必要があります。 - 金銭トラブルや相性問題も当事者間で解決
「授業料を支払ったのに連絡が取れなくなった」「先生の遅刻が多い」といったトラブルが発生しても、誰も間に入ってくれません。
相性が合わずに先生を交代したい場合も、断りの連絡をご自身で直接入れる必要があり、精神的な負担を感じることもあります。
個人契約はこんなご家庭におすすめ
- 少しでも費用を抑えたいご家庭
- 講師選びにこだわりがあり、自分で納得いくまで探したいご家庭
- 万が一のトラブルにも、自己責任で対応できる自信があるご家庭
【探し方③】オンライン家庭教師のメリット・デメリット
コロナ禍を経て一気に普及したのが、オンライン家庭教師です。
最新のスタイルと思われがちですが、たくさんのメリットがあり、今や有力な選択肢の一つとなっています。
メリット:距離の壁を越えて優秀な講師に出会える
- 全国・海外の講師から選べる
最大のメリットは、お住まいの地域に関係なく先生を探せることです。
「地方に住んでいるから、近所に良い先生が見つからない」「志望校出身の現役大学生に教えてほしい」といった願いを叶えることができます。 - 送迎が不要で、時間や場所の制約が少ない
ご自宅で指導を受けられるため、塾のような送迎の負担が一切ありません。
先生の交通費もかからないため、その分費用が抑えられる傾向にあります。
部活動や他の習い事で忙しいお子様でも、スケジュールを調整しやすいのも魅力です。 - 比較的リーズナブルなサービスが多い
対面の家庭教師に比べて、入会金が不要であったり、授業料が安く設定されていたりするサービスが多く見られます。
移動時間がない分、効率的に指導できることが料金に反映されています。
デメリット:対面にはない特有の注意点も
- インターネット環境や機材の準備が必要
安定したインターネット回線はもちろん、パソコンやタブレット、Webカメラ、マイクなど、授業を受けるための機材をご家庭で用意する必要があります。 - お子様の集中力維持に工夫がいる場合も
画面越しの指導になるため、先生が隣にいる対面指導のような緊張感を保ちにくい場合があります。
特に低学年のお子様の場合、集中力が途切れないように、保護者の方のサポートが必要になることもあります。 - 実技科目や細かな手元の指導には不向きなことも
画面共有機能などで工夫はされていますが、図形問題や実験など、細かな手元の動きを確認する必要がある指導は、対面に比べて難しさを感じる可能性があります。
オンライン家庭教師はこんなご家庭におすすめ
- 近くに良い塾や家庭教師が見つからないご家庭
- 志望校の在籍生など、特定の条件で先生を探したいご家庭
- 送迎の負担をなくしたい、費用を抑えたいご家庭
料金はどれくらい違う?3つの方法の費用相場を徹底比較
家庭教師を検討する上で、やはり一番気になるのは料金ではないでしょうか。
ここでは、3つの方法それぞれの費用相場と、注意点について解説します。
まず、料金は「授業料」だけで決まらないことを覚えておきましょう。
特に派遣センターでは、授業料以外に様々な費用がかかる場合があります。
- 入会金:契約時に一度だけ支払う費用。
- 管理費/サポート費:毎月授業料とは別に支払う費用。
- 教材費:センター指定の教材を購入する場合にかかる費用。
- 交通費:先生の自宅からご家庭までの移動にかかる実費。
これらの費用を踏まえた上で、一般的な料金相場を比較してみましょう。
| 探し方 | 小学生(時給) | 中学生(時給) | その他費用(目安) |
|---|---|---|---|
| 家庭教師派遣センター | 3,000円~6,500円 | 3,000円~6,500円 | 入会金、管理費、教材費、交通費 |
| 個人契約 | 3,000円~5,000円 | 3,000円~5,000円 | 交通費(教材は市販のものを使う場合が多い) |
| オンライン家庭教師 | 1,500円~5,000円 | 1,500円~5,000円 | 初期費用・管理費は会社による(交通費は不要) |
※上記は大学生講師の場合の相場であり、プロ家庭教師の場合はこれよりも高くなります。
表を見て分かる通り、総額で考えると個人契約やオンライン家庭教師のほうが費用を抑えやすい傾向にあります。
ただし、安さだけで選ぶのは禁物です。
派遣センターの手厚いサポートには、料金に見合う価値がありますし、個人契約にはトラブルのリスクも伴います。
料金とサービス内容、安心感のバランスを総合的に考えて判断することが何よりも大切です。
我が家にぴったりの家庭教師を見つけるための3ステップ
それぞれの探し方の特徴が分かったところで、最後に、実際に行動に移すための具体的な3つのステップをご紹介します。
このステップを踏むことで、後悔のない家庭教師選びができるはずです。
ステップ1:なぜ家庭教師が必要?目的を明確にする
まず最初に、ご家庭でじっくりと話し合っていただきたいのが「何のために家庭教師を頼むのか」という目的です。
目的が明確になることで、どんな先生にお願いすべきかが自然と見えてきます。
- 例:学校の授業についていけない苦手科目を克服したい
- 例:学習習慣を身につけ、自分から勉強するようになってほしい
- 例:中学受験に向けて、専門的な対策をお願いしたい
目的によって、学生の先生で十分なのか、それとも合格実績が豊富なプロの先生にお願いすべきなのかが変わってきます。
ステップ2:譲れない条件に優先順位をつける
目的がはっきりしたら、次に先生を探す上での具体的な条件を整理し、優先順位をつけましょう。
すべての希望を100%満たす先生を見つけるのは難しいかもしれません。
「これだけは絶対に譲れない」という条件を明確にしておくことが大切です。
- 予算:月々いくらまでなら無理なく支払えるか。
- 指導経験:受験指導の経験は必須か、指導年数はどれくらいか。
- スケジュール:希望の曜日や時間帯はいつか。
- その他:男性・女性の希望、お子様との年齢が近い先生が良いかなど。
ステップ3:必ず体験授業を受けて相性を確認する
条件に合う先生が見つかったら、契約を結ぶ前に必ず体験授業を受けてください。
プロフィール上ではどんなに素晴らしい先生に見えても、最終的に一番大切なのは、お子様本人との相性です。
- お子様は、先生の説明を「分かりやすい」と感じているか。
- 授業の雰囲気は楽しそうか、質問しやすいか。
- 保護者から見て、信頼できる人柄か。
体験授業は、お子様と先生、そして保護者の方、三者にとってのマッチングの場です。
ここで「この先生なら、安心して子どもを任せられる」と心から思えるかどうかを、しっかりと見極めてください。
まとめ:お子様の未来のために、まずは一歩踏み出してみましょう
今回は、家庭教師の3つの探し方について、それぞれのメリット・デメリットや料金相場を詳しく解説してきました。
最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
- 家庭教師の探し方は主に3種類
- 派遣センター:手厚いサポートで初めてでも安心だが、料金は割高。
- 個人契約:費用を抑えられ自由度も高いが、すべて自己責任。
- オンライン:場所を選ばず優秀な先生を探せるが、ネット環境が必要。
- 料金だけで選ばない
料金の安さだけでなく、サポート体制や安心感、ご家庭の手間などを総合的に比較することが大切。 - 最適な家庭教師を見つけるための3ステップ
- 目的を明確にする
- 条件に優先順位をつける
- 体験授業で相性を必ず確認する
完璧な探し方というものは存在しません。
ご家庭の教育方針やライフスタイル、そして何よりもお子様の性格に合った方法が、そのご家庭にとっての「ベストな探し方」です。
家庭教師選びは、お子様の未来の可能性を広げるための大切な投資です。
お子様が「勉強って楽しい!」「分かると嬉しい!」と感じられるような、素敵な先生との出会いのきっかけを、この記事で作れたなら、これほど嬉しいことはありません。
まずは「我が家の場合は、どの探し方が合っているかな?」とご家族で話し合うところから、ぜひ始めてみてください。
