スペシャルインタビューInterview

スペシャルインタビュー

[スペシャル対談]
TOEIC®は世界へのパスポート

国際機関職員 石川 毅さん

国際機関職員としてグローバルに活躍されている石川氏とコレダケ代表石原が対談。グローバル人材だから知っている活躍できる英語力とはどの程度か?忙しい社会人が英語を身につけるにはどうすればよいか?そして、現在のTOEICスコアの価値とは。20年来の関係だからできる本音トーク。

石川 毅さん (写真右)のプロフィール:
専修大学史上初の「飛び級」にて同大学大学院経済学研究科に進学し、修士課程を修了。2002年より国際機関職員として日系企業の海外進出支援業務に従事。中国へ駐在するなどしつつ、幅広い国際的な活動を行う。アメリカ、オーストラリアへの留学経験もあり英語も堪能。趣味は年2回の海外旅行。著書に「TOEIC300点からの海外進出」(コレダケ代表石原との共著・講談社エディトリアル)

企業規模に関わらず急速に広がる英語の必要性

──お二人は以前、「TOEIC300点からの海外進出」という本を共著した間柄ですが、付き合いは20年を超えると聞きました。

石原 まさかこんなに長い付き合いになるとは思わなかったし、出会った頃は2人とも海外に関わる仕事をするなんて想像もつきませんでした。今や石川さんは海外経験も豊富なグローバル人材ですね。

石川 仕事が国際機関ということもあり、よく海外出張に行くよね。中国は8都市、その他台湾、韓国、ベトナム、タイ、フィリピン、ヨーロッパはドイツやスイスなどに行きました。その他、海外旅行も趣味だからヨーロッパ、アジアを中心に40都市以上は訪問しています。

──お二人とも昔から英語は得意でしたか?

石原 学生の時は苦手だったな…。

石川 私は大学生の頃にアメリカに3ヶ月の短期留学に行きましたし、社会人になってからオーストラリアにも石原さんの会社で手配して語学留学に行ったりもしました。でも職場が国際機関だから英語はビジネスレベルはあって当然という感じで帰国子女とかも多いから、彼らと比較するともっと勉強しなければというプレッシャーはありましたね。

石原 石川さんは仕事柄多くの中小企業から大企業の人まで交流がありますが、最近のビジネスシーンでの英語の必要性はどう感じていますか?

石川 私たちが学生だった20年以上前はそうでもなかったけど、今は国内市場が縮小しているので地方の町工場や飲食店や内装工事会社でも、海外に進出するケースが珍しくないです。また入社当初は英語を使うなんて全く考えていなかった人が急に英語が必要になって勉強しているケースを多く見かけます。これからは企業の大小に関係なく語学が必須になってくるなと感じますね。それに今の日本では英語ができれば将来の選択肢がめちゃくちゃ広がる。これは特に20代~30代くらいの若い人にとってはとてつもないチャンスだと思います。

石原 私も英語の可能性は年々増しているように感じますね。英語が苦手だったけど、ひょんなことから語学留学することになり英語が使えるようになったので、仕事のためにオーストラリアやフィリピンに住んでトータル15年以上経ちます。英語を勉強しておいて良かったと心底思います。

石川 英語はプライベートでも仕事でも世界へのパスポートと言えますね。

国際機関でも重視されるTOEIC

──その英語力を測るのは日本ではTOEICが最も人気ですが、石川さんの働く国際機関でもTOEICで評価されるのですか?

石川 もちろん。入社時も使われるのはTOEICです。もちろんTOEIC以外にも英語力チェックは入りますが、重要視されるのはやはりTOEICです。

石原 国際機関であっても日本ではTOEICですよね。

──TOEIC以外にもTOEFLやIELTSなど他のテストもありますよね?

石原 日本ではTOEIC以外のスコアだと英語力をイメージできる人が少なすぎます。人事にIELTS 7.0ありますとアピールしてもピンとこない。自らの英語力を正確に知りたいという目的であれば他のテストでもよいとは思いますが、日本で評価されたいという目的だとTOEICがまだまだ最強です。

石川 TOEICはやはり多くの人が英語力をイメージできるのが大きい。学生は就職のため、社会人は昇進、海外赴任、転職などの際の評価指標になるのはやっぱりTOEICです。トピックがビジネス系なので社会人としての必要な英語力を測るには適当ですしね。

石原 英語力を高めるために勉強することは素晴らしいことですが、客観的な数値で実力を証明しないと評価してもらえないものです。その中でも、TOEICは英語力を一番簡単に証明する方法でもあるのでお勧めのテストだと思います。受験料も他のテストより安価で試験会場も多いのでチャレンジしやすいというメリットもあります。

忙しい社会人が採るべき学習法

──しかし、社会人は忙しくてなかなか勉強時間がとれないという方も多いですよね。二人とも忙しい毎日になる仕事だと思いますが、どうやって勉強時間を捻出しましたか?

石川 日常的には隙間時間を利用するのが効率的ですね。今は通勤時や食後などのちょっとした隙間時間でもスマホのアプリなどで勉強できるし、無料で英語ニュースを読んだりもできます。仕事がら世界のニュースを仕入れることが多いですが、やはりそれは英語で仕入れるのが一番効率的です。もちろん、最初は難しかったですけど、まずは見出しだけピックアップして、読んで分からない単語はググるというだけでも良い勉強になる。

また、「ここは勝負という時」は期限を決めて、その時は仕事を無理にでもセーブして取り組むことも必要だと思います。私の場合は一時期会社に行きながら、経営学を学ぶために大学院に通いましたが、あの時は隙間時間の利用では足りませんでした。

そこで、仕事を一旦棚卸しして優先度が低いものは思い切ってカットしました。もちろん色々と支障が出ることはありますが短期間であれば周りも協力してくれるので可能です。英語は先ほども言った通り将来の可能性を一気に広めてくてるし、それこそ給料の高い外資系に転職する武器になることなどを考えればコストパフォーマンスが高い投資になるので優先するだけの価値はあります。勝負する時ってやはり手放さないといけないものもあるけど、それって後からみると絶対やって良かったとなりますよね。

石原 確かに忙しいと言い続けていたらいつまでたっても現状は変わらないから、思い切った決断は必要ですよね。

──しかし仕事をセーブできる期間にも限界もあるので、短期集中で学習するしかないということですよね?

石川 そうです。さらに言うとモチベーションの維持も考えると期間を3ヶ月とか半年とか短く区切らないと無理です。今はきめ細やかにサポートしてくれるコーチングがあるスクールも増えてきたので、そういうものを利用するのも良いですね。勉強方法って自己流になると非効率になって学習期間も延びてしまうことが多いですから、最も効率がよいやり方を教えてくれて、学習状況を常に確認してくれる人がいるなら、その力を借りてサクっと短期間でやってしまう方が良いと思います。

石原 フィットネスとかと同じですよね。楽ではない行為なのだから、正しい方法でやること、モチベーションを保つ方法を採ることの2つを大事にすれば自然と成果が出せます。そのどちらかが欠けるとほとんどの人が途中でドロップアウトしてしまいます。

石川 ほんとその通りです。フィットネス業界と英語教育業界の流行りは全く同じですからね。安いけど自己流で好き勝手やるタイプか、結果にコミットしてくれるけど費用はまあまあかかってしまうタイプ。社会人は時間がない反面、お金に余裕はあるという人も多いはず。だからこそ、短期間に成果を出すことを重視した方法に投資を行わなければいけないとは思います。その判断を見誤ると長期間だらだらやった挙げ句にドロップアウトして、それまでの投資が無駄に終わってしまいます。

仕事で必要とされている語学力はそう高くない

──石川さんは英語だけでなく中国語もできるとお聞きしました。

石川 中国語はまだビジネスレベルではないので、中国での仕事の時は通訳をつけています。それでも通訳に完全に頼ってしまうのは良くない。言葉は基礎だけでもできると状況を有利に運ぶことができるからです。

まず、通訳の方って優秀な一部の人を除いては、こちらの意図すること全体までを訳してくれません。だから、こちらの言いたいことや熱量がなかなか伝わらないことが多くなります。日本語という言語はハイコンテクストな言語、つまり共有性が高く、ひとつひとつの言葉で説明しなくても察し合うことで分かる言葉です。そのため、表面だけを訳されるとニュアンスが変わってしまいます。

だから、たどたどしくても自分の言葉で大事な部分だけは伝えることが大事です。言いたいことがあればそれは片言でも伝わるものですから。そして、後は通訳に訳してもらうという流れでも有利な状況を生み出せます。

それと新興国などでは通訳の報酬が商談成立すると上がることもあるので、わざと嘘の通訳をすることもあります。分かりやすく極端な例になりますが、金メッキだと先方が言っているのに純金製なので非常にお得ですとか訳してきて商談を無理やりまとめようとする通訳も少なくありません。

── それはまたすごい話ですね。新興国ビジネスではそんな所にまで落とし穴があるのですね。

石川 でも基本的な部分でも単語が分かると、何かか怪しいぞ、しっかり訳せって言える。ここは非常に重要なポイントです。これは英語でも同じことが言えるから、別に上級にならなくても中級レベル、TOEICで言えば600-700点位あるだけでだいぶ世界は変わります。このくらいのレベルなら才能とか関係なく、正しい努力さえすれば誰でも到達できるレベルですから、やらない手はないですよね。実は、私は現職の入社試験のTOEICスコアがその位で、あとは実戦で凌いでスキルアップしてきました。

石原 それは本当にそう思う。二人の共著「TOEIC300点からの海外進出」もまさにそのような話から生まれた本ですよね。多くの人は海外進出というと英語が上級レベルでないと無理なことだと思っていますが、実はそんなことはなくて中級レベル、状況によってはそれ以下でもスタートできたりします。そして必要な英語力は必要になった時に短期集中で身に付けることで間に合わせることもできます。私もオーストラリアでビジネスビザや永住権を取得する時にIELTS(英連邦諸国で主流の英語力検定)のスコアが求められましたが、その時は3ヶ月集中して勉強することで必要なスコアをクリアしました。

日本人から英語を学ぶ意義

石原 ただし、その時は英語で文法やらテクニックを習うと細かいところを理解するのに苦労しました。短期集中でやるならば、こういった理論分野を日本人から習えばもっと楽ができたと思っています。

石川 そうだね。ちなみに、ありがたいことに著書は、ニュース配信会社のNNAで今でも紹介されています。日本では英語ネイティブに習うべきという信仰があるけど、経験上、日本語で学んだ方が断然効率が良い分野はあります。スピーキング、リスニングの練習は外国人講師ではないと実践をイメージしたトレーニングができませんが、文法など説明されて理解することが大事な分野は日本人講師がいいですね。

単なる英会話をネイティブ講師と長時間やっても、実はTOEICの成績は上がりません。場合によっては、教えてもらっているネイティブ講師の癖がうつったりする。実は僕は駐在の時に、中国語を女性のネイティブ講師から学んだのですが、ある商談の場所で中国の方から「すみません。その表現は女性が使う言葉で男性は使わない方が…」と言われたことがある。もちろん笑いに変えたけど。ネイティブは生まれた環境で自然と言語を身につけているので、実は自分の言語を詳しく知らないものです。その点、非ネイティブの先生の方が言語に詳しいですよね。

これからの社会人にとっての英語

石川 今の大学生や20-30代位の若手や中堅社員は、ある程度の英語力をさっさと身につけてしまった方が圧倒的に有利です。今まで多くの会社を見てきましたが、英語の使える人材が圧倒的に足りてないですし、評価はもちろん英語だけではないけど、英語ができるということで大役が回ってくることや、挑戦させてもらえることが増えるのは間違いありません。これは逆に言えば英語ができないということで、優秀な人ですらチャンスを失うことも多いとうことです。

そして、その必要な英語力は上級ではなく誰でも身につけられる中級程度でも良いということは多くの人に知ってほしい点です。極端な話、30~50の英単語で、ゆっくり、はっきり、話せば、海外ビジネスで勝負できる。外国人に英語で伝えたいという思い、熱量が大事です。英語はツールで、あくまでコミュニケーションの手段ですから。

石原 本当にその通りですね。今の社会はどんな業界、業種も英語が使えればそれがレバレッジになって貴重な人材として評価してもらえる場面が多いですね。

石川 英語は給料を上げる武器にもなり、場合によっては年収が数百万円と変わってきます。現金な考え方ですが、時間とお金をかけた分は余裕で回収できてしまいます。しかし、いくら英語力が高くてもそれを客観的に証明できなければチャンスは巡ってきません。日本において評価されやすいTOEICはチャンスを掴む第一歩と言ってもいいと思います。

石原 確かにそうですね。これまで長く英語業界にいますが、英語力を身につけたことでハイレベル転職、海外起業、移住など様々な夢を叶えた卒業生を沢山みてきました。多くの人に英語ができれば人生が変わると知ってほしいですね。

──本日はいろいろと貴重なお話ありがとうございました。

TOEIC300点からの海外進出
石原 智之 / 石川 毅 共著「TOEIC300点からの海外進出」

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